バッハ〜ミサ曲ロ短調

久しぶりにザ・シンフォニーホールでライブを聴いた。

トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団のバッハ・ミサ曲ロ短調だ。

古楽界の御大が、手兵を率いて大阪に来るということで、これはいかねばと馳せ参じた。それにしても、一般的に、なんで「手兵」という表現をよく使うのだろう、戦じゃないんだから、自ら設立した楽団でいいかと思う。

f:id:andaantee:20180908222105j:image

シンフォニーの森を抜けて、ホールに向かう。

シンフォニーの森は台風21号で倒壊した木はなさそうだ。メインの道は人が通れるようになっているけれど、両脇のベンチのあるところはちぎれた木やなんやかんやが散乱していて、人は立ち入れない。

 

ミサ曲ロ短調は、バッハの最高傑作のひとつとされる。同じく最高傑作とされるマタイ受難曲と比べると、ストーリー性がわかりやすいマタイと比べると、とっつきにくく、私もたまにしか聴いていなかった。

ライブがはねた後の結論からいうと、良かった。行って良かった。ちょ〜良かったということになる。

古楽器の弦楽器の響きは、シンフォニーホールの音響も相まって絶妙だった。

ソプラノ・ヴォイスもこのシンフォニーホールの音響とのシナジー効果でわし掴みにされるレベルだった。

演奏が始まり、最初のキリエのところでは、あれれと思ったところがあったが、キリエが終わる頃には、フルスロットル・フルパワーの演奏になっていた。

演奏は透明感があり、パワフルだ。今聴いている演奏がこれまでマタイや管弦組曲をよく聞いていたコープマン&アムステルダムバロックの生演奏と考えると感慨深い。

バッハの宗教曲はアリアや2重唱が愛らしく、ミサ曲ロ短調もそれはそれは愛らしいのだが、私がこの日こころにツキササッタのは、合唱曲だ。ラテン語表記でアレだが、第1曲Kyrieから始まり、Gratias、最後の方のSanctusなど。合唱が迫力満点で神々しかった。残響時間2秒のザ・シンフォニーホールでこれだけ、神々しいのだから、石造の教会でやったら、どこまで神の世界になってしまうのか。

 

ライブがはねて、台風の傷跡が残る雨のシンフォニーの森を抜けて帰った。これだけ満ち足りた気持ちで帰るコンサートも久しぶりだなと思った。

 

動画はトン・コープマンと手兵じゃなくてかれが設立した楽団のもの。のミサ曲ロ短調じゃなくて、カンタータ140番。まあ、とっつきやすいので。


J. S. Bach - Kantate "Wachet auf, ruft uns die Stimme", BWV 140 (Ton Koopman)

 

最近は、惰性でクラ音楽を聴いていた雰囲気もあったが、忘れていた頃にこんなライヴを体験する。だからクラ音楽聴きはやめられないなと思った次第。