万博が終わって2週間も経つと随分前の出来事と感じてしまいます。忘れる前に、私の万博思い出をまとめました。長文です。
パビリオン
万博で、何が刺さるかは人それぞれです。まずは万博の華であるパビリオンから。

コモンズA館のキルギス。天山山脈の麓です。映像を見ながら絨毯で座るという、それだけと言えばそれだけですが、NHK特集のシルクロードを見て、憧れていた日々を思い出しました。フェルトの人形もなかなか良いです。


それから、コモンズD館のモンゴル。今、アニメでやってるマルコポーロで出てくる黄金のパイザが見られたので、胸熱です。ウズベキスタン、カザフスタンなど、中央アジアの国々は騎馬民族の帝国が攻防を繰り広げた歴史イメージが重なり胸熱でした。
それから、イタリア・バチカン館のカラバッジオの絵ですが、日本の重要文化財であれば美術館には温湿度管理の厳しい基準が課されます。バチカンの国宝というべき絵が、仮設建築物の他の部屋ともつながっていて湿度コントロールも難しい中で、しかも至近距離で見れるというのはすごいことだと思います。会期中につくづく大きな事故がなくて良かったと思います。

それから、シグネーチャ・パビリオンの「いのちの未来」ですが、当初はアンドロイドということで、テクノロージー・バリバリの展示を想像していたのですが、入館すると予想が裏切られ、おばあちゃんと孫とのヒューマンストーリーにウルウル来ます。出た後も、自分だったらどうするであろうかと考えこみます。出た後にいちばん口数が減ったパビリオンでした。
イベント
万博は膨大な数のイベントが複数同時に進行しているので飽きることがありません。鉄板の「アオと夜の虹のパレード」や「ドローン・ショー」以外のやつを書きます。

スペインパビリオンの大階段の上でやるフラメンコですが、私の見た時は長髪の男性の方が演じるタップが圧巻でした。それにしても暑そうでした。

連日若いスタッフで大盛り上がりのインドネシア館です。インドネシアの独立80周年記念日の時だったと思うけど、JKT48のライブがありました。ヘビーローテーションはもちろん盛り上がるけど、私はオリジナル曲のしんみりした曲がとてもいいと思った。

大催事場シャインハットで開催された中部方面隊音楽隊のコンサート。MCの女性の方はその辺の芸人より面白かったし、演奏や歌も老若男女が楽しめるエンターテーメントという感じでした。万博会場は一般入場者・スタッフ合わせて最大約25万人程入ると思うのですが、考えてみれば自衛隊の人数が25万人な訳で、この会場にいる人数で日本の広い陸海空域を守っていると考えるとこれはすごいことです。

9/12イタリア・ナショナルデー。9時入場でローマ歌劇場のキャンセル待ち整理券をゲット!「キャンセル待ち整理券」という絶妙の文言に不安を覚えましたが、100人単位の待機列がどんどん切られていく。。。。入れませんでした。後からレビューを見ると、オペラは初めてだけど、すごい感動したという声が多数で、そうゆう方はぜひ、街中で開催されているオペラやクラシックに足を運んで欲しいです。そうゆう催しは、お客さんも高齢化が進んでいるので、新しい方にも来てもらいたいですね。

ポーランドが毎日開催していた。ショパンのピアノ・リサイタルです。楕円形のコンサートホール。壁はひも。席数は50ぐらいでしょうか。私が行った時は、アンジェイ・ヴェルティンスキさんのピアノで、終演後は写真を一緒に撮ってもらったのもいい思い出です。

アンゴラ館のカフェでやっていたライブも好きでしたね。日本人にも馴染みやすいキャッチーな曲も多くて、終盤はお客さんとダンスでしたね。
レストラン
食事はコンビニおにぎりやテイクアウトあるいはザックに詰め込んでいた行動食でしたが、一度だけ本格的なレストランに入りました。サウジアラビア館のレストランIRTHです。朝9時入場でも待機列に並ぶのが難しい最難関レストランですが、比較的空いている日に近くを通りかかったら、たまたま待機列の門が開きました。ラッキーです。

ノーマン・フォスター設計のレストランで食事ができるとは、もし、ロンドンでならいくらかかるんでしょう。しかも、Tシャツ(ワークマンにて580円で購入)にザックを担いだ山行きスタイルでレストランに入れる。


ご飯の上にラム肉をのっけたハニースが人気ですが、私は甘いハバク・レモネードと、麦の上にエビがのっかっているムファラグが気に入りました。

ハニースは、色々なソースがついていますが、私はハチミツをかけるのが好みでした。ラム肉は全然癖がなく食べやすかったですね。
大屋根リング
大屋根リングには、いろいろ関心させられました。灼熱の日々でも身が干からびなかったのは、リングのおかげで、命を救われた思いです。リングに張り付いているパビリオンは大概リング側に屋外ステージがあって、リング上から見ることもできます。

ドイツ館では、YMCAをDJすれば、リングの上ではYMCAを踊っているシーンも見ました。

夕日を見にリング東側の最頂部に上がった時には、西側の650m先にゆらゆらと動く人が見えます。会期後半の夕方2025mの人の輪が会場を包んでいるのは奇跡的な光景と感じました。
基本計画でリングの構想が発表されたのは2020年末で、世界はまだ今ほど分断されていなかった。それから、ウクライナが侵略を受けて以来、度重なる戦争紛争が勃発していており、2025年の万博会場で、これだけの国の人々が一つの輪の中にあることが尊く感じます。
3日前先着
予約システムはいまいちでした。まず、3日前の先着予約は会期前半は取れたけど、後半は全く取れずです。3日前の午前0時から開始ですが、眠たい目をこすりながらスタンバイします。0時になると共に一瞬でなくなります。そのうち、ホームページにアクセスしても1時間待ちの行列になってます。行列終わって、予約するぞと思ったら、エラーです。心が折れる。並ばない万博と言っていたのに、電子上でも並ばされるのかと思いました。どうせ予約は取れないのだから、やらなければいいのですが、なぜか午前0時になるとやってしまいます。寝不足になりました。
当日先着
当日予約は、予約枠の多くが午前9時開放なので、9時入場が有利です。改善されて9時より後に開放される枠も増えましたが、1瞬でなくなります。しかも、人力でぽちぽちとクリックしていても、自動ツール使いには刃が立たない。ようやくアクセスできたらエラー。ログインからやり直し。8月の盆以降は常にこの状態でした。9月以降、自動ツール使いのBANが始まりましたが、会場に20万人が押し寄せる中で、状況は良くならなかったです。でも、たまに当日予約が取れてしまう時があります。その時の興奮といったら、すごいものです。私はギャンブルはやらないですが、ギャンブルをやる人のアドレナリンが出るってこうゆうことかと気づきました。気が付けば隣で大阪IRが絶賛杭打ち中です。
まあ、予約が必要ないパビリオンやイベントに行けばいいんですけどね。
オールナイト

8月13日の夜に、東ゲートを出て夢洲駅の階段まであと100mとなったところで、大阪メトロ中央線が止まりました。そのまま1時間行列はフリーズし、客は会場内に戻るようにアナウンスがあり、行列は直進して初めてスタッフ用のゲートを通過し、会場に戻ったが、暑いし、救急車がひっきりなしに来るし、スマホのバッテリーは無くなってくるしで不安でした。
ただ、自動販売機は機能しているし、給水機も使えるし、トイレも使えるしでとても助かりました。夜中にポルトガル館解放、ヘルスケア解放のニュースが飛び込み、寝たいと思い動きました。近くにあったNTTパビリオンが開放するということで、ここで仮眠をとりました。(感謝)


午前3時にトイレに行くため、リング下を歩きましたが、いつもは混雑しているリングが圧倒的な静寂に包まれ、ベンチで寝ている人が多数で不思議な風景でしたね。

午前4時ゲートアウトしましたが、ミャクミャクの前には、写真を撮る行列ができており、スタッフの方が写真を撮ってあげていました。こんな時間まで、ご苦労様です。それから東ゲートを出たら、目の前に徹夜組がいて、すごいなあと見ていました。
後悔
会期の前半からちょくちょく行っていたこともあって、パビリオンの制覇はしていないけど、そこそこ行けたかなあと思っています。それはいいのですが、人間は欲深く、ああすれば良かったと考えてしまいます。一つは、万博はこんなに面白いのであれば、なぜ私は愛・地球博に行かなかったのかということ。もう一つは、ヴァーチャル万博をなぜ早くやっておかなかったのかということです。ヴァーチャル万博は、パビリオンによっては再現度が高く、結構楽しめました。ハンガリーパビリオンでは、妖精のようなソプラノが歌う「春の風」をリアル・パビリオンと同じような感じで聞きました。巨大なミャクミャクが現れるのもGOOD! 結局、10/11、10/12の2日間しか操作できず。13日の閉幕とともにアバターは消滅しました。
ミャクミャク
公式キャラクターがミャクミャクに決まった時、これはありえんと思いました。私は見る目がないです。ひょっとしたら、可愛いのでは?となったのは、開幕前にスタッフさんがつけているぬいぐるみを見たり、初めて東ゲートを通った時に鎮座しているミャクミャクを見たりした時でしょうか。ミャクミャクは3Dになってこそ、その魅力を発揮すると思います。

考えてみれば、万博会場には各国の魅惑のキャラが大量にいるのですが、ミャクミャクはさすがキャラクター大国ニッポンと言える圧倒的な存在感を示してくれました。それに、いつぞやからミャクミャクのおしり(通称ミャクケツ)を写真に撮る人が増えていきました。

結局、ミャクミャクにはまってしまい。ミャクミャク ハウスに会いに行きました。

くじにも行きました。90分並んで、3等狙いだったのですが、無事に3等をゲットできました。
まとめ
並ばない万博から、並ぶ万博へ、そして並べない万博へ。予約システムに悩まされる日々。苦言もありますが、総じてポジティブがネガティブを上回る、稀有なイベントだったと思います。朝9時から夜の9時まで12時間も会場にいても、何回行っても飽きるということがなかったです。万博に通っていた時期は自分にとっては狂騒の日々でした。関係者・スタッフさん・ボランティアの方々ありがとうございました。ようやく終わったので、これから日常生活を再開します。
