ドビュッシー〜前奏曲集第1集より亜麻色の髪の乙女


この前の休みにツィメルマンのリサイタル@兵庫芸文行って来た。ツィメルマンは普段はショパンの協奏曲をCDで聴いていたぐらいですが、結構良いので、実演聞いてみたいなと思い、チケットをとっていた。当初はオール・ドビュッシープロだったけど、ある日突然、ツィメルマンの希望で、プロにシマノフスキブラームスが入った。日本の晩秋ということで、ツィメルマンさん、ここはブラームスどないや、と思ったかどうか。演目はこんな感じ。

ドビュッシー:版画
ドビュッシー前奏曲集 第1集より
2帆、12吟遊詩人、6雲の上の足跡、8亜麻色の髪の乙女
10沈める寺 7西風の見たもの

シマノフスキ:3つの前奏曲
1ロ短調、2二短調、8変ホ短調
ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番

ツィメルマンを最初聴いて思ったのは、うを、音でけえ。3階席の端まで、結構な音圧で響いてくる。一流の音楽家というものは、チケット代の安い席までもきっちり音楽を届けてくれるものなのか。(そういえば、ドナルド・キーンさんが、フラグスタートやらメルヒオールの歌手の声量はとんでもなくでかくて、立ち見席でもきっちり届いたとか書いておったな。)音色は暖かで、きれいなビロードが散りばめられているような感じがする。私のATフィールドも中和されて行く・・・でもドビュッシーの曲、例えば前奏曲の雲の上の足跡では、キーンという音が聞こえてきそうな、クリスタルガラスのような音色になる。この辺の音色のつかいわけがどうやったらできるのか不思議。・・・可変式エヴァか。ドビュッシーは聴いていなかったが、実演に接すると、を、なかなか面白いと思った。動画は名曲の亜麻色〜貼らせてください。(別のピアニストですが)

リサイタルのしめはブラームスのピアノ・ソナタ。このソナタの2番。今まで、どうも入り込めなかった。でも、ツィメルマンのライブで聞いて、だいぶ印象が変わった。え、こんな曲だったのか。ブラームスって、枯淡の境地の中にもかすかにめらめらと燃える炎があるイメージと勝手に解釈しているのですが。ツィメルマンソナタは、燎原。あっちでも、こっちでも火の手があがるそんな感じ。ピアノ1台でここまで、迫力のある音楽を作り出せるのかとびっくり。

風邪を引いている人がおおいのか、客席は咳をする人多し。ブラームスソナタの第1楽章が終わったところで、咳の大合唱となった。ツィメルマン「咳をすればいいと思うよ。ごほん(ツィメルマンも咳)。」かくして、客席はまた、咳の合唱となったのです。コンサートホールのこころ暖まる瞬間でした。