シューベルト〜ピアノソナタ第21番


夜もとっぷり暮れる時刻に、このピアノソナタ21番を聴くことが多くなりました。ユーゴー先生のレ・ミゼラブルをゆっくり読みながら、紅茶をすすりながら。シューベルトピアノソナタは、今まで何がいいのかさっぱり分からなかったが、私も年くってきて、この枯淡の境地が分かるようになってきたのか。しみじみ。枯淡といってもこれシューベルト31才の作品。31才といえば、エネルギーにみなぎっている年齢なのかもしれないが、シューベルトさんはとにかく枯淡。明るいのか、暗いのか分からない。ただ優しい。けど、憂いがある。これを作曲していたときは、シューベルトは目前に死があった訳ですよね。
いつも外れのないBBC Legendsからウィルヘルム・ケンプさんの演奏です。第1楽章の憂いを秘めた曲調いいですねえ。ぐいぐい引き込まれます。なんか読書とピアノソナタは相性がいいようなそんな気がします。とくにこうゆうゆっくりと時が流れていくソナタは。
第2楽章は深刻度が増すような感じがしますが、ところが第3楽章は突然の曲調の変化。憂いはあっても、ころころ飛び跳ねる曲調。第4楽章は憂いも完全に吹っ切れて、楽しくて仕方が無い感じ。箸が転んでも笑ってしまいそうな。この心境の変化はどういうことでしょう。
動画は、ケンプさん無かったので、リヒテルさん。第1楽章がながあい。なかなか気に入ったので、シューベルトの他のレイト・ソナタ19番、20番も聴かなきゃですかね。