プーランク〜3つのノヴェレッテ

梅雨の晴れ間で、いっきに気温が上がり、青々とした空を見ていると昼間にマーラーはもう聴けないなあといった感じでした。例年夏場はフランス音楽が涼しげでいいんじゃないかとひとりごちているものの、聞いてはいるもののそれほど馴染めず、毎年撃退されるを繰り返しております。
Piano Music Chamber Music

Piano Music Chamber Music

 

 今年はクラシック音楽のレンジを広げるべく、プーランクピアノ曲を聴いてみました。3つのノヴェレッテって曲。第2番のげんきな曲調は苦手ですが、第1番、第3番はしっとりして好みですねえ。動画を貼っておこう。

あっついなあと思いながらも、楽しく聞いていた曲たち。
キースジャレット ケルンコンサート 2c これが即興なんて信じられない、良い曲だなあ。
Playing for changeってアルバムからLove rescue me 元々U2の曲みたいですね。 
ガーシュイン ラプソディインブルー バーンスタインのどや指揮のソニーレーベル盤。
ジルベルトのゲッツ。ボサノバ・ジャズの名盤ですね。このアルバムが似合う季節になりました。

 

マーラー〜交響曲第8番

イギリスの国民投票は、私の予想としては、なんやかんやあっても残留で落ち着くのではないかと思っていたのだけど、離脱に決まったということで衝撃を受けた。イギリスは長い低迷の時を経て、金融という魔法の杖で、経済が強くなったと思っていたのだが、実態はグローバル資本主義で利益を享受していたのはごく一部の人だけだったということだろうか。

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昨日はがっつりと音楽を聴く時間があったため、自分にとっての無人島の一箱を取り出した。EMIのマーラー全集ボックス。例年のこの時期とくらべると湿気が少ない、空気もひんやりしている。マーラーのシンフォニーを聴いても暑苦しくないかもしれない。そもそも、セミがじーじーと泣き出すとマーラーの気分ではなくなる。夏場の間隙をぬってマーラーを聴く。
 
そのマーラー交響曲の中でもがっつり、がっつりした交響曲第8番を聴いた。テンシュテッド指揮、ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ。第1部はまさに音楽の大伽藍。第2部はオーケストラ付き声楽という印象があるのだけど、しっくり聴かせます。名演奏です。
 
くそ長い曲なので、第1部だけ貼っておこう。


Klaus Tennstedt & London Philharmonic Orchestra: Mahler's Symphony no.8 Part I 1991 (live)

ヘレン・メリルを聴きながら

自宅のベランダから外を見ていると、小鳥が何匹も飛んでいる。

比較的短い距離の同じルートを、何度も、何度も飛んでいる。
すこし、飛び方がたどたどしく、慣れてない感じがする。
 
鳥の巣立ちの時期で、飛ぶ練習をしているのだなあと思いました。
 
それにしても、激落しそうにみえても激落しないのはさすが鳥であります。
この鳥たちはどんな人生(鳥生というべきだ)を過ごすのでありましょうか。

 

helen merrill

helen merrill

 

 さてさて、今日は掃除をしながら、女性ジャズボーカルの大定番、ヘレン・メリルさんの代表的なアルバム「ヘレン・メリルウィズ・クリフォード・ブラウン」を聴いておりました。マイクにシャウトするジャケットが印象的。うちで使っているアンプは真空管トランジスタのハイブリッドなんで、この時代の録音が熱をおびた感じにいい塩梅で鳴ります。

 

このアルバムといえば、あの曲!が有名なんですけど、お気に入りは”Falling in Love with Love”という曲。ウキウキ感全開で万人ウケする曲じゃないでしょうか。


Helen Merrill with Quincy Jones Septet - Falling in Love with Love

 

ヒラリー・ハーンのリサイタル

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久しぶりに兵庫県立芸術文化センターに出動した。ヒラリー・ハーンさんのリサイタル。今回の日本ツアーはモーツァルト、バッハ、コープランド、現代曲と多彩だった。私はといえば、耳馴染みのある曲が好みで、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタK.379、これは出だしの曲調がとても好きであり、今日の演奏を聴いていても、何回かハッとさせられた。ハッとさせられるって、わて私的にどうゆうことかというと、瞬間的に頭の中に違う景色がぱあっと広がるような感じ。この感じが好きだから、音楽聴いているんです。(クスリをやってる訳じゃありません。)

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でも、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番BWV.1005を聴いて、ハーンのバッハはいいなあと改めて思った。聴いているこっちの方が燃焼する。そんな、感じだった。すごく、演奏が難しい曲だなということが分かるけど、ハーンは難なく乗り越えていく。完璧にヴィヨーム(彼女のヴァイオリン)をドライブし、フーガを構築していく。テクニックがあるだけじゃなく、魂が込められている。ラルゴは本当にいい曲だと思う。魂の深淵。演奏を聴いて崖から突き落とされそうになる。9割がた埋まったホールの聴衆と一緒に崖から突き落とされそうになる。この感じはなんと言葉で表現すればいいのか分からない。
 
「音楽を言葉で表現するのは、建築をダンスで表現するようなもんだ」とかいう方もいたようですし、言葉で表現は難しいかと。そんなことを、夜中に彼女の18歳の時のデビューアルバムを聴きながら、しっぽりと考えておりました。
 
 
今後のコンサートの予定は今のところ白紙であります。暑くなってきたし、ガット弦のバヨリンとか、・・・フルートとか、・・古楽の小編成のやつ、・・・そんなんにしようかなと。

空がなかなか

早めに仕事を終わり、帰る途中、空がなかなか綺麗でありました。

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いつも通っている道、何百回、何千回と通っている道でも、空が綺麗だとぜんぜん違う景色に見える。

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今日は湿気もなく、空気も爽やか。大阪には今後、夏場の灼熱がやってくるので、今のうちにこの空気感を楽しみます。

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Met〜ロベルト・デヴェリュー

怒髪天を衝く エリザベス女王

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朝から梅田の街に出動し、Metライブビューイングに行ってきました。ドニセッティのロベルト・デヴェリュー。大盛況でした。チューダー朝3部作と言われる前2作を見ていたので、コンプリートしたく見てきました。ストーリーはソープオペラ。恋人(ロベルト・デヴェリュー)に裏切られたエリザベス1世が激怒。ロベルト・デヴェリューが公爵夫人と不倫していたのが分かって、女王と公爵が激怒。修羅場。修羅場。激怒。激怒。激怒。
 
憤懣やるかたなし
 
エリザベス女王を歌ったラドヴァノフスキーさん。ただただ凄かった。これは酷なんじゃないかと思うぐらい、ハイテンションなシーンが続く。猜疑心、嫉妬、ブチ切れ、やけのやんぱち、見てるほうがはらはらする。カーテンコールでは完全燃焼で、憑き物がおちた様だった。
 
ネットで調べたけど、実際はエリザベス女王は結構我慢強かったようだ。ロベルト・デヴェリューはかっこよくて国民にも人気があったよう。でも、その人気で勘違し、謀反に走ったようだ。
 
見てる間考えていたのだけど、貴族っていうのは王さんに対して反乱を起こす例が多いけど、なんでそんなことするのだろう。歴史を紐解くと、貴族が王に反乱を企てても、なかなか成功はしない。大抵は事前に発覚して鎮圧される。もうちょっとリスクヘッジをちゃんとしないと。それでも権力を指向するものが反乱をやめられないのは、さがなのか。

祝 ル・コルビュジェ

今回はいつもと趣旨を変えて、建築のお話を。ル・コルビュジェの作品が世界遺産に登録されて、東京上野の西洋美術館も世界遺産になるということで、何か書いてみようと思う。記憶の劣化により、ちょっと違っている記述もあるかもしれないです。

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欧州で近代建築運動をやっていた人たちの中で、ワルター・グロピウスバウハウスミース・ファン・デル・ローエのトゥーゲントハット邸に続き、ル・コルビュジェの建築群が世界遺産に登録ということで、ようやく真打登場という感じがする。でも、世界遺産なんて「はく」がなくたって、ケンチクやっている人は心の底からコルビュジェを尊敬している人が多い。
 
近代建築運動の中心人物であり、前半、近代建築らしい機能的なデザインで革命家的にぶいぶい言わせたと思ったら、後半、詩的で豊穣な空間を作ったりと、なんとまあ、一面では捉えきれない、引き出しの多い人ではある。コルビュジェはこうゆうものかと分かったつもりでも、月日を経ると新しい発見があったりと飽きることのない建築家である。そうゆう意味ではクラではクラシック界のごはん(まったく飽きない)とも言われるベートーベンのようなものじゃないかと思う。コルブ(愛称)は人に影響を与える力も甚大で、日本の近代建築の著名な建築家もコルブの弟子が多いし、世界中に弟子は巣立っていったし、今の世代もコルブにぞっこんな人が多い。
 
コルブは名言が多い人でもある。一度聞いたら忘れられないような言葉を発する。今回は名言(迷言?)という切り口でまとめてみよう。
 
住宅は住むための機械である
 
機械?我が家のくつろぐためのリビングが機械なのか?なんという無味乾燥な表現と今では思うかもしれない。でも、1920年にさかのぼると、自動車や航空機が世の中に広まりつつあり、皆機械に世の中の変革を見ていた時代。建築だけが特権階級のための装飾にまみれちゃいかん、機能に基づいたものにしようという、革命家コルブらしい宣言だったんじゃないでしょうか。

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機械らしいといえば、パリ郊外にたつサヴォア邸。これが1931年に建っているんだから、当時の一般的な建物と比べたらぜんぜん違うので、浮きまくっていたであろう。
 
建築は光の戯れである
 
コルブは自然光の使い方がうまい。教会や修道院なんかでは、実に劇的な自然光の取り入れ方をする。有名なのは、ロンシャンの教会。かつての異教徒の聖地の丘にキリスト教会が建てられた。分厚いコンクリートの壁面にてんでバラバラの開口部を開け、これまたてんでばらばらの色彩のステンドグラスから光が溢れてくる。プロポーションと光の輝きが絶妙で、まるで音楽が聞こえてきそうな空間だ。

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300万人の都市計画
 
コルブは都市計画にもご執心。パリの中心部をぶっ潰して、ローラーで真っ平らにして、高層ビルを林立させる計画を考えた。今ユネスコが聞いたら激怒するような計画。若きコルブが考えていたのは、人々が健康であるためには、都市といえども風通しが良く、日当たりが良く、緑も多くないといけない。というわけでコルビュジェらしく、過激なマニフェストである。

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おまけ ル・コルビュジェ meets クラヲタ
・上野の西洋美術館の横に立っている東京文化会館。クラヲタの聖地として有名であるが、設計者の前川国男コルビュジェの弟子である。
・代表作のフランス南部に建つラ・ツゥーレット修道院には、作曲家のクセナキスコルビジェの事務所で働いているときに設計した窓がある。フィボナッチ数列でデザインしたとか・・・難しい話である。

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