祝 ル・コルビュジェ

今回はいつもと趣旨を変えて、建築のお話を。ル・コルビュジェの作品が世界遺産に登録されて、東京上野の西洋美術館も世界遺産になるということで、何か書いてみようと思う。記憶の劣化により、ちょっと違っている記述もあるかもしれないです。

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欧州で近代建築運動をやっていた人たちの中で、ワルター・グロピウスバウハウスミース・ファン・デル・ローエのトゥーゲントハット邸に続き、ル・コルビュジェの建築群が世界遺産に登録ということで、ようやく真打登場という感じがする。でも、世界遺産なんて「はく」がなくたって、ケンチクやっている人は心の底からコルビュジェを尊敬している人が多い。
 
近代建築運動の中心人物であり、前半、近代建築らしい機能的なデザインで革命家的にぶいぶい言わせたと思ったら、後半、詩的で豊穣な空間を作ったりと、なんとまあ、一面では捉えきれない、引き出しの多い人ではある。コルビュジェはこうゆうものかと分かったつもりでも、月日を経ると新しい発見があったりと飽きることのない建築家である。そうゆう意味ではクラではクラシック界のごはん(まったく飽きない)とも言われるベートーベンのようなものじゃないかと思う。コルブ(愛称)は人に影響を与える力も甚大で、日本の近代建築の著名な建築家もコルブの弟子が多いし、世界中に弟子は巣立っていったし、今の世代もコルブにぞっこんな人が多い。
 
コルブは名言が多い人でもある。一度聞いたら忘れられないような言葉を発する。今回は名言(迷言?)という切り口でまとめてみよう。
 
住宅は住むための機械である
 
機械?我が家のくつろぐためのリビングが機械なのか?なんという無味乾燥な表現と今では思うかもしれない。でも、1920年にさかのぼると、自動車や航空機が世の中に広まりつつあり、皆機械に世の中の変革を見ていた時代。建築だけが特権階級のための装飾にまみれちゃいかん、機能に基づいたものにしようという、革命家コルブらしい宣言だったんじゃないでしょうか。

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機械らしいといえば、パリ郊外にたつサヴォア邸。これが1931年に建っているんだから、当時の一般的な建物と比べたらぜんぜん違うので、浮きまくっていたであろう。
 
建築は光の戯れである
 
コルブは自然光の使い方がうまい。教会や修道院なんかでは、実に劇的な自然光の取り入れ方をする。有名なのは、ロンシャンの教会。かつての異教徒の聖地の丘にキリスト教会が建てられた。分厚いコンクリートの壁面にてんでバラバラの開口部を開け、これまたてんでばらばらの色彩のステンドグラスから光が溢れてくる。プロポーションと光の輝きが絶妙で、まるで音楽が聞こえてきそうな空間だ。

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300万人の都市計画
 
コルブは都市計画にもご執心。パリの中心部をぶっ潰して、ローラーで真っ平らにして、高層ビルを林立させる計画を考えた。今ユネスコが聞いたら激怒するような計画。若きコルブが考えていたのは、人々が健康であるためには、都市といえども風通しが良く、日当たりが良く、緑も多くないといけない。というわけでコルビュジェらしく、過激なマニフェストである。

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おまけ ル・コルビュジェ meets クラヲタ
・上野の西洋美術館の横に立っている東京文化会館。クラヲタの聖地として有名であるが、設計者の前川国男コルビュジェの弟子である。
・代表作のフランス南部に建つラ・ツゥーレット修道院には、作曲家のクセナキスコルビジェの事務所で働いているときに設計した窓がある。フィボナッチ数列でデザインしたとか・・・難しい話である。

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