関西二期会の愛の妙薬@大阪国際交流センターに行って来ました。そういえば、関西二期会は初めてであった。ドニゼのマスターピース、愛の妙薬。代表的なクスリ系オペラでもあります(ただしクスリは効かない)。ドニゼはやまれぬ事情で、1ヶ月という短期間で作曲したらしい。ドニゼ仕事はええ。聴いていると確かにさばさばと切り捨てていく感じがして、それが元気の良さにつながっているような感じがします。旋律は全編に幸福感に満ちております。
指 揮: 金 正奉
演 出: ウォーリー木下
アディーナ:佐竹 しのぶ
ネモリーノ:藤田 大輔
ベルコーレ:黒田 まさき
ドゥルカマーラ:萩原 次己
ジャンネッタ:山田 千尋
管弦楽: ハイブリッド・オーケストラ
合唱: 関西二期会アンサンブル
ベルコーレの黒田まさきさんは、出てくるたびに、舞台がしまる。演技達者だなと思った。ネモリーノがしんみりと歌い上げる「人知れぬ涙」はほんとに素晴らしかったです。それに続くアディーナのアリア(Prendi:prendi per me sei liberというのか)もすんばらしかったです。
それと演出ですが、びっくりしました。こんなのは初めて見ました。オペラってステージ下にオーケストラ・ピットがあって、ステージの両脇に字幕があるスタイルが普通です。ところがこの舞台は、オケもステージも字幕も混然一体として、同じ視界内にある。特に通常問題になりがちな字幕ですが、オペラを見に行ってステージと字幕が離れているために、意識が字幕へ傾き、オペラ見に行ったのか字幕見に行ったのか分からないなんてこともあります。とにかくこれは、垣根を取り払いたいという思いがあったのだろう。全体が一望できるので分かりやすいです。
字幕、というより字のアートは、登場人物の感情の揺れを表現しています。第1幕が終わる間際、様々な登場人物の思いが交錯するアンサンブルですが、ここでの影絵は効果的だった。演出というのは、感情をダイレクトにお客さんに伝える仕事であるなあと思った次第です。