京都〜N邸

秋の京都。紅葉のシーズンはまだだけど、人出もまだそんなに多くないこの時期は良かったかもしんない。吉田五十八設計のN邸へ行ってきました。なので、今日はケンチクねた。

N邸は贅沢な庭に囲まれている。なんともいわくありげな石が絶妙に配置されている。写真では分かりにくいが、邸宅の中を小さな小川が流れている。さらさらという水音が心地よいです。サウンドスケープってのは庭には大事な要素ですえ。この邸宅には別に茶室があって、大文字山を借景にお茶飲む部屋もあります。風流だ。

この邸宅でいちばん気持ちがいいのはリビング。せいの高いサッシがコーナー開放されている。目の前には最高の庭が。庭と一体になった感覚が楽しめます。軒付近からぶら下がる金属製のルーバーが、視覚的に効いている。

ちょっとひいた位置から同リビングを。ソファも、机もなんて贅沢な位置にあるのだろう。天井も現代数寄屋らしく面いち。


五十八さん設計ではないようだが、茶室のほうも印象に残ったことがあって書いときます。大文字山を見る茶室に行く前に廊下があるのだけれど、建物の壁線から浸食してくるような形で、池が入り込んでくるのですよ。ここでは外部と内部がくっきり分かれる事はなく、シームレスでつながっている。中間緩衝エリアを通じてつながっているというべきか。

思うんだけど、外と中くっきり分けないってのは、日本ならではの空間の作り方だなあ。ここでもほとんど、半屋外にいる気分で庭園の中を移動してた。茶室を主体にした邸宅ということもあるかもしんない。昭和初期の金持ち、風流人たちは、一生で何十回かある櫻や山焼きの時、茶をたてることを楽しみに過ごしていたんだなあ。