君の名は
大ヒットになっているという「君の名は」見てきました。
その日はメトロポリタン・オペラ・ライヴビューイングの封切りの日で、
演目はラトル指揮のワーグナー〜トリスタンとイゾルデ。興味がありましたが、トリスタン〜を見るにはひとりでいかんといかんなと。夫婦で4時間もあの濃い不倫のオペラをみるのはそぐわないかなと。
結果は、君の名はを見て、めっちゃ清々しい気分になった。
とてもみずみずしい話で、映像とRADWIMPSの音楽がマッチしてて、小気味よくて、現代のオペラってこんな感じかなあと。
若い頃の感受性がほんのすこしだけ、蘇った気がしました。
こうゆうのは、世界の多くの国で封切って、いろんな人に見てもらえるといいなあと。
宣伝するつもりはないが貼っておこう。
見た人しかわからない、全然本質をついていないメモですが、ちょっと書きます。
・東京の都市景観のシーンは美しい。定点観測カメラを早送りしたような映像。太陽は徹底して点光源。
・彗星のシーン、美しい。2次元アニメーションでしかできない美しさだと思いました。衝突と破壊のシーン。こうゆうのはハリウッド映画のCGでやっても軽い、日本アニメの方がなぜかぐさっとくる。
・この映画に興味を持ったのが、日経アーキテクチャーweb版で紹介されていたから。主人公の男子高校生は部屋に東京都庁や代々木競技場のスケッチを貼っている。高校生にして丹下健三が好き。。。渋い。いや、その心意気よし。
・岐阜の男子高校生の部屋にあった。アマチュア無線機?コンポなどの書き込みが妙にリアルで、スタッフに好きな人がいるんだろうなあ。部室の看板、アマチュア無線部あたらめパソコン部って、文化系オタ系サークルの王道だな。
・レイトショーで見たので、観客は若い人が多かったが、老若男女楽しめるアニメだと思う。
・RADWIMPSのスパークルの曲がかかるシーンで、めちゃくちゃ盛り上がるのが心地よい。若い子たちが何回も映画を見るって話を聞くけど、映像と音楽がマッチングした心地よさ、オペラを見るような高揚感があるんじゃないかと思った。
・良質なアニメーションが自分の住む国でできて、世界で一番最初に公開されて観れるのは、なんとも素晴らしいことだと思った。
・ティーンエイジャーが主人公の恋愛ストーリーは清々しくっていいなと思った。トリスタンとイゾルデのイゾルデも確かティーンエイジャーだったような。。。
台中歌劇院とワーグナー〜ラインの黄金
しばらく前に、台中メトロポリタン・オペラハウスが竣工した。
ネットでいろいろと画像を見ていた。
ユーグリッド幾何学の世界から、トポロジー幾何学の世界へワープしたようだ。
でも、ホールは音響の制約があるから、わりかし常識的じゃないかな。
ホワイエの空間は唯一無二。
なにか地中のなかに潜っていく感じ。
まるで、ワーグナーの楽劇ラインの黄金で、登場人物が地中に下っていくようだなと思った。
こうゆうところで、ワーグナーやったら素敵だなと思った。
と思ったら、こけら落としはワーグナーのラインの黄金だったようだ。
この楽劇のプロローグはやっぱりいい。
ライン川のたゆたう流れが見えるようだ。(実際にライン川を見たことはないが)
Das Rheingold (Complete) (Comp)
- アーティスト: Vienna Philharmonic Orchestra,George London,Richard Wagner,Georg Solti,Kirsten Flagstad,Set Svanholm
- 出版社/メーカー: Decca Import
- 発売日: 2008/06/02
- メディア: CD
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以前、ハイライト盤をよく聴いていた軟弱者なので、最初のプロローグから指輪強奪の上愛を捨て世界征服宣言のくだりと、最後の空虚な入場シーンが印象に残ります。
この作品からわたしが受け取る教訓は、他人のふんどしで勝負したらあかんということ。
策を弄して、ワルハラ城を建設してしまい、後で苦しくなってしまうヴォータンを見て思うのであります。
過去記事。。。もう、5年も経ったのか。。。脂汗。
機械式マニュアルカメラで散歩
この前、カメラバックから久しぶりに取り出したFM2を持ち出し散歩してみた。
私は以前このカメラを持っていろんなところに行ったものだ。
(とはいっても、関西内だが。。。)
金属の塊のようなカメラなので、冷んやりした感触が心地よい。
テーブルにカメラを置くと、ゴットっつて音がする。
フィルムはフジのC200というカラーネガフィルム。
レンズはMicro Nikkor 55mm f2.8。
撮ったネガをお店に持って行って、「現像お願いします」ってなことを久しぶりに言ってみた。
やっぱり、独特な写り。メインで使っているデジカメと比べると、優しい感じがする。
公園に来ていたピザ屋さん。美味しそうであるなあ。
ある日の夕方、綺麗に空が焼けた。夕焼けマニア。マーラーが聴きたい気分だな。
それにしても、マクロレンズらしい撮り方をしていない。
ある線路際に生えていたはっぱ。
逆光はやはり厳しい訳です。
機会式のマニュアルカメラは久しぶりに使うと楽しい。
フランク・ロイド・ライト〜旧山邑邸
阪急神戸線の芦屋川駅から、山手を見るとフランク・ロイド・ライト設計の旧山邑邸が(現ヨドコウ迎賓館)見える。神戸線に乗るたびに何度も車窓から見ていて、行きたいなと思っていた。まあいつでも行けるかと思っていたら、なかなか行かなかった。今回は友人の計らいで行くことができた。感謝。
フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、ワルター・グロピウスの4人は近代建築の4巨匠と言われる。ライトの他の3人はフランス・ドイツというヨーロッパの心臓部で活躍した。他3名は豆腐を切ったようなコンクリートの建築、鉄とガラスの建築、バウハウスの校舎をデザインしたりして、やってる主義主張が分かりやすかった。以前の私としては、他3名の革命家然とした感じが好きで、マニフェストをぶち上げるような感じが好きだった。パリの街をローラーで平らにして、高層ビルを林立させるような。(コルビュジェ300万人の都市計画)
しかし、私も時代を経て、加齢によって好みが変わってきた。最近はライトが気になって来ていたのである。
ライトというと伊達男で、クライアントの奥さんとできてしまい、駆け落ちした話があったと思う。(まあ、グロピウスもマーラーの奥さんとアレだったが)彼の家族を襲った悲劇もあり、常にタブロイド紙に取り上げられる男だったようだ。そうゆう話に気が取られて、彼の連続する空間や特異な造形に興味が行っていなかった。いま思えば残念な話である。
阪急芦屋川から、豪邸を横に見つつ、急な坂を上がると、旧山邑亭に辿りつく。
応接室。3面から適度に自然光が入ってきて、心地いい。近代建築の巨匠といえども、壁一面ガラスとかにしないのが、ライトらしい奥ゆかしさか。だてに200件住宅設計していない。インテリアにも栃木県の大谷石が多用されていて、重厚な雰囲気になっている。
空間はぬるぬると連続していく。シカゴ近郊に彼が設計したプレーリーハウスは水平連続だが、ここは垂直連続だな。
窓廻りでみせる意匠はライトの得意技だ。
西向きの窓なので、晴れの日は、夕日で綺麗な影を落とすであろう。
いちばん上の階に食堂があった。それほど広い部屋ではない。
ライトらしい装飾で、しかし節度をもって空間がまとめられている。
食堂はこじんまりとしていたが、バルコニーにつながっていて、外にテーブル出してお食事もしたかもしれない。
芦屋の豪邸というと、阪神間の街と大阪湾を見下ろすですな。
歩きまわっていると視覚的に面白い仕掛けがある。
マヤ遺跡を模したような装飾が、そこここにある。
以前は近代建築に装飾なんてと思っていたけど、最近はまあ、それもありかなと思えるようになってきた。(雰囲気がよければ)
当時の生活水準から考えると、もうとんでもない豪邸なれど、えらそばったところがない。ヒューマン・スケールが行き届いていて、こじんまりとしていて、居心地がいい。
私が思うに住宅の名建築って、思っているより、こじんまりとしていて、居心地がいいと思う。そこにいて時間の経つことを忘れ、訪れた時間は夕刻だったが、朝や昼はどうだろうとか思いをはせることができ、また訪れたくなる。外の風景が押し付けがましくなく、優しく自分の中に入ってくる。旧山邑邸は間違いなく名作だった。
しかしながら、旧山邑邸はこの11月から2年間の改修にはいるとのこと。また、再公開の際は訪れたい。
小ネタ話
・このお屋敷のなかに小間使いの部屋があった。4畳半くらいのこじんまりした部屋だけど、窓からの眺めは自然が溢れているし、清潔感があった。この屋敷に住むなら、この小間使いの部屋でいい。ここに布団を持ち込みたい。
・日比谷の帝国ホテルがライト建築のまま今もあったら、どんなにすごかっただろうか。ライトの最高傑作のひとつが日本にあることになるのだ。村野藤吾の日生劇場とライトの帝国ホテルが並び立つ姿を自分の目で見たかったものだ。
・ライトが日本に来ていた頃は、彼の家族と従業員を襲った悲劇の後だけに、精神的なダメージが相当あったであろうが、帝国ホテルなどの傑作を残した。やる奴はやるのである。
梅田夕景
ある日の夕方、 カメラ片手に梅田を散歩した。
グランフロントで、逆光を受ける。
西梅田のビル群。
夕日を浴びるビル群をみていると、マーラーのアダージェットが聴きたくなる。
観光客のみなさんは、相変わらず多い。
秋ですなあ。
夕焼けは飽きない訳で。
日の沈むところは、スカイビルに隠れて見えず。
使ったカメラはSony NEX7、レンズはCarl Zeiss Sonnar T*E24mm F1.8であります。
過去記事。。。
ビーバー〜ロザリオのソナタ
シンプルな空間だけど、濃密。
一見ほんとにちっちゃい、コンクリートの箱だけど。
教会正面から差し込む光の十字架が劇的で、
ああマタイ受難曲(?)という感じがする。
この教会斜めにコンクリートの壁が挿入されているのだけど、
スリットからこぼれてくる光を捉えてみました。
安藤忠雄が描いたこの教会の平面図もとても有名。
絵葉書になってるぐらい。
この平面図MoMA永久保存でもいいんじゃないだろうか。
名作とされる建築の内部空間に身を置くと、なんとも不思議な気持ちになる。
それは、音楽を聴いて陶酔している感覚に似ている。
誰が言ったのか良くわからんですが、建築は「凍れる音楽」とも言いますね。
フローズン・ムジク
れりご
さて、教会つながりというわけではないけれど、今日はロザリオのソナタについて書いてみる。キリストの生涯を描いたバイオリン曲。
この夏はピアノのみとか、バヨリンのみとか、器楽曲ばかり聴いていたような気がする。蒸し暑い日々の中では音数が多いのがどうも苦手なのです。
その中でもよく聴いていたのはビーバー作曲のロザリオのソナタ。
バロック・バイオリンの名手ボッジャーさんの演奏を良く聴いていた。
バロック時代の曲は、聴いていてもどの曲も同じように聴こえるのだが、何回も聴いているとだんだん違いが分かってくる。
こうなるとしめたもの。
その曲を体得した気分になる。
お盆のくそ暑い時期に、ロザリオのソナタを聴きながら、バスで西へ向かった。中国自動車での車窓に流れる緑鮮やかな山々。効きすぎたバスの冷房。そんな状況とロザリオのソナタは妙にマッチした。
お気には最終曲のパッサカリア。暗闇を切り裂くかのような無伴奏バイオリン曲。
すきだなあ。
ボッジャーさんではないが、動画を貼っておこう。
モノクロームな動画が美しいです。
BIBER PASSACAGLIA - Elicia Silverstein, violinist
暑い時期は、素麺ばかりだった。
これからは涼しくなってきているし、味噌ラーメン(ブラームス)とか、醤油とんこつラーメン(マーラー)とか、がっつりいきたい。
Nikon new FM2
カメラバックをごそごそしていたら出てきた、
これはだいぶん以前に手に入れたものだけど、そういえばあまり使いこんでいないなあ。
当時は花でも撮ろうかとかなんとか、考えていたと思う。(柄でもなく)
ニコンのマニュアル式一眼レフnew FM2につけていた。
これぞカメラというデザイン。
デジタルカメラに慣れてきった身からいうと、使うのがとてもめんどくさい。
シャッタースピードも、絞りも自分で決める。
シャッターは機械式。
電池が切れても大丈夫。
電気式の露出計はある。
たぶん、10年ぶりぐらいに、ファインダーを覗いたら、電池は生きていて露出計が使えた。(#マジカヨ)こんなことは現代のカメラではあり得ないだろう。
フィルムの巻き上げも自分でレバーを回す。
36枚撮り切ったら、自分でハンドル回して、フィルムを巻き戻す。(今、36枚ってナニ?って方も。)
めんどくさいっちゃ、めんどくさい。でも、何も考えず、動作を体で覚え込んでしまえば、ある意味シンプルとも言える。
忘れていた。
フィルムを巻き戻したら、現像に出さなきゃいけない。
フィルムを手に入れるのだって、いまや近くの店では手に入らないかもしれない。
やっぱり、めんどくさいかも。
new FM2にマイクロニッコールをつけたら、なんとも精悍な姿。
レンズは絞りやら、距離情報が刻印されていて、なんともメカメカしい。
おまけにカニの爪まで、ついているし。
カメラも必要最小限のダイヤル・レバーしかついていない潔さ。
メカメカしさがたまらんちん。
(乃木坂46で機械式カメラが好きな方がいるそうだが、
それは、趣味として、美意識として非常に正しいと思うのであります。)
カメラの動作確認&内部風通しのため、シャッターを切ったのだけど、操作感はピンと背中を伸ばして撮っている感じで心地よい。
カメラバックの奥から、フィルム(コニカのセンチュリア400懐!)がでてくる。
めんどくさいが、
あまり、出番のなかったマイクロニッコール使ってみようか。。。