ドニゼッティ〜マリア・ストゥアルダ

スコットランド女王メアリー・ステュアートを題材にしたオペラ。ジョジョ1部のメアリーのエピソードが印象に残っていて、メトの今シーズン楽しみにしていた公演でありました。物語は、戦に敗れイングランドに逃れてきたメアリーが、10数年の幽閉生活のうえ処刑されるまでを描きます。

これは第2幕のエリザベス1世とメアリーの激突が見応えがある。何とも軽快な音楽の中、2人はてさぐりで話始める。メアリーには何も無い。エリザベッタは女王であり、権威も軍も持っている。しかし、看守までもその魅力で引き込んでいく、メアリーにエリザベッタは恐怖しているのが垣間見える、おまえは一体何者なんやと。最初は不自然、ぎくしゃくとしていた会話も、エリザベッタが夫殺しの容疑でちくちくやり出すと、それまでひざまづこうと努力していたメアリー爆発。何も無くても、メアリーのプライドは折れていなかった。0才から女王業をやり、1時はフランス王妃も勤めていた自負心はだてではなかった。エリザベッタに対して暴言の数々、アン・ブーリンの話まで出して、親の悪口言ったらあきまへん。メアリーは衛兵に取り押さえられます。

まあ、この激突シーンはシラーが書いた物語でのことです。史実はもっとイングランドの正統王権がからんでいたり複雑のようですね。メアリーの処刑が無敵艦隊を動かしたり、エリザベスの死後は、イングランドでもステュアート朝が始まったりと、歴史と言うのはなんともまあ不思議なもんです。

メアリー・ステュアートを演じるディドナートさんはほんとうまい。BRAVA!まあ、メトでタイトルロールするぐらいなので、うまいのは当然なのだが。
それから、エリザベスを演じる若きヒーヴァーさん、頭を丸刈りにして役づくりに取り組む気合いの入りよう。頭を丸刈りってどこかで聴いた話だな。彼女はインタビューで、私が普通の女の子を演じていても仕方ないでしょとか言ってるのには吹いた。

動画は、マリア・ストゥアルダから最後の祈り。追体験ちうであります。メアリー・ステュアートというのは、シラーやドニゼッティだけではなく、いろいろな芸術家に霊感を与えた人の様です。
ワーグナー〜メアリーステュアートの別れ
シューマン〜メアリーステュアート女王の詩
今度また、聴いてみようと思います。