ニクソン チャイナに行く

 先週の週末のことになるけれど、難波パークスで久しぶりのメトロポリタンオペラ ライブビューイング。Jアダムス作曲のニクソンインチャイナ。この公演は作曲者がまんま指揮者だった。こういう事態が発生するのは流石に現代オペラ。曲の印象は聞きごこちのよいアリアやオーケストレーションがある訳でないが、ドラマに合わせて緊張感を高めていくものでした。

 このオペラ、演出のピーター・セラーズの発案で作成した様。インタビューで彼が出て来たけど、めちゃめちゃおもろいおっさんだった。格好はちゃらいけど、発想がとめどなく出て来て、しゃべり続けている。そんなセラーズ政治や経済に詳しい。ニクソン大統領中国訪問というテーマを選ぶとは。西洋文明と東洋文明の激突。ニクソン毛沢東の会談にただよう空虚な空気。歴史は師だというニクソンに対し、毛は歴史をののしる。実際の会談の空気感もこんな感じだったらしい。

 劇中の西洋人キャストの人民服姿は当然、全然似合わない。逆に東洋人のキャストが着るとばっちりはまる。毛沢東夫人の江青は韓国系のソプラノ キャスリーン・キムが演じる、そうかその手があったか。そのふてぶてしい演技は堂に入ってる。いつか、ドキュメンタリー番組で見た江青にとても似ている。そのドキュメンタリーでは、死刑判決が言い渡され会場から引きずりだされる光景だったが。第2幕なかなか歌わないキムだったが、歌いだすと一気にヒステリックな場となりました。

 第3幕で、米中の最高権力者たちがメランコリーになり、周恩来亡くなる。と、いつの間にかオペラは終演となっていた。このオペラ、最初は怖いもの見たさで行ったけど、結構楽しめた。音楽よりはドラマという印象強いです。現代もののオペラもいいですね。ベルリンの壁崩壊とか、ジャスミン革命とかオペラにならんかな。日本のバブル崩壊とか・・・まあ、ならんか。

で、江青で私に強い印象を残してくれたキャスリーン・キムですが、1年半前のMETホフマン物語のゼンマイ仕掛け人形オランピアの方が印象強いです。こちらはかわいらしい演技。動画です。