少し前の話ではあるが、展覧会に行ってきた。
今、大阪で盛んにテレビCMが流れているメトロポリタン美術館展だ。
展覧会はご無沙汰な私であったが、非常に見ごたえがある展覧会だった。
ここに行くには天王寺駅から、あべのハルカスを背に芝生広場(てんしば)を通っていく、様々な人々が思い思いの時を過ごしている気持ちのいい空間だ。
(昔は露天カラオケに興じる人が多くて、無法地帯だったが、もうそれは言うまい)
1400年代のテンペラ画から印象派まで多彩な絵画が集められていた。
しかし、テンペラ画って、おいしそうな言葉の響きだ。しらべてみると、顔料に卵黄を混ぜるようで、おいしそうというのは、あながち間違えてなさそうだ。
気になった絵を列挙する。
・エル・グレコ 羊飼いの洗礼 光を感じる絵だ。
・ルーベンス 聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ幼い洗礼者聖ヨハネ
マリア様の目を中心として、動きを感じる。むかし、むかしのライカレンズやロシアンレンズで、絞り開放でとるようなぐるぐるボケ効果というのだろうか。
・ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 女占い師
今回の目玉の一つの絵、人の表情が絶妙で、もっとこの画家のことが知りたいと思った。
・ターナー ヴェネツィア、サンタマリアデッラサルーテ聖堂の前廊から望む
最初、目に入ってきたとき、明るい!まぶしい!というのが第1印象だった。
書かれたのが、1830年代。1000年以上続いた栄光のヴェネツィア共和国も若きナポレオンにボコられ終了した後。しかし、唯一無二のその都市は、文化人のあこがれであり、絵のテーマになったのであろうな。運河に浮かぶ、ごみみたいなものはご愛敬。
・ドガ 踊り子たち、ピンクと緑
劇場にいるバレリーナを照らす、ほのかな光を感じる。1890年代、劇場は今みたいに煌煌とした照明じゃなく、このようなほのかな明かりで浮かび上がっていたんじゃないか。このほのかな明かりはどれだけ印刷技術が発達しても印刷物で再現できないんじゃないか。展覧会を愛する人にとっては今更なことなんだろうけど、写真で見るのと実物は全然違う!ということを実感した1枚。
ということで、私の絵の好みもわかってきた。光を感じるとか、動きを感じるとか、ぐるぐるボケとか、趣味のカメラに通じるものが好みなんだ。