出雲大社のモダニズム

 旅行で出雲大社に行った。

近代建築が好きな人にとって、出雲大社といえば、頭の中に真っ先に出てくるのは、菊竹清訓が設計した庁の舎じゃなかろうか。私も庁の舎を見たいと思っていた。

出雲大社の境内を歩きながら、いつ菊竹の建築は出てくるのだろうと、気もそぞろになっていたが、庁の舎が見えてきた時、ああこんな中心に近いところに建っているのだと感慨深かった。

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それは拝殿からほど近い場所にあった。古代から連綿と続いている大社の木造建築群の横に鉄筋コンクリート造の建築が在る。伝統とモダニズムが違和感なく共存しているのはかるく驚きだ。

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今の時代なら、細部は金属で作ると思うが、これは細部まで徹底的にコンクリートで作られている。特にルーバーまでコンクリートで作られていて、コンクリートでここまでやるか、わたしだったらたわみが不安になるぞ。建物というよりは、コンクリートで精巧に形取られたオブジェの様だ。

 

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日の丸との対比もばっちりである。

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真正面からのアングルもよろしいなあ。

この時代の近代建築にはありがちな話だが、すでに庁舎として機能しなくなっているこの建物は取り壊しの話が出ている。古代から続く大社共存する稀有なモダニズム建築をすこしでも長く保存していただければ、嬉しい。

 

昔話だが、菊竹ってすごいなあと思ったのは、何年か前に、東光園という温泉宿に泊まったのがきっかけだった。その時は建築の本で読んだものを軽く見ておこうと思っていただけだったが、菊竹の造形の作り込みに衝撃を受けた。どこをとっても徹底的というか、建築家のアバンギャルドの心意気を感じ取ったし、狂気にさえ感じた。朝起きて、一風呂浴びた後、朝日を受ける東光園の全景を見た時、光に満たされた階段室に入った時は至福の時間だったのを覚えている。

(過去記事です)

 

andaantee.hatenablog.com

 

 

まとめ:菊竹清訓はおそろしい。