ヴェルディ〜アイーダ

アイーダって人を要約すると、すばしっこいってことかなとひとりごちる。メトの看板オペラ、アイーダを映画館で見ました。メトのこのプロダクションはDVDで見たことがあるのでだいたいは分かっていたのであるが、絢爛豪華な舞台美術。これだものな。

超大国アメリカの威信をかけた圧倒的な物量投入だ。始める前にルネ・フレミングがメトの7つあるリフトを全て使い切るとか言ってた。歌手、合唱、オケ、バレエ、エキストラ、スタッフ1000人近い人間と馬数頭が作り上げる、人海戦術オペラでもあります。こんなに人かけて儲かるのか?
このストーリーは、古代エジプトにおけるラヴ・トライアングルなんだけど、エジプト王女アムネリス、エジプトの将軍ラダメス、女奴隷アイーダ(以前はエチオピアの王女)が物語の軸。なんやかんやとありまして、ラダメスは国家に対する重大な罪で処刑、王女アムネリスの必死の嘆願があってもどうにもならんかった。ラダメスは石棺の中に閉じ込められ、以前からそこに潜んでいたアイーダと共に幕となります。
サッカー場で歌われる凱旋行進曲だけど出だしの部分はすごいと思うものの、私は中盤で眠くなります。スクリーンに人やら馬がぞろぞろ通るので、羊が一匹、羊が二匹みたいな心地がしてひどく眠くなるのです。特にバレエが。
終盤の第4幕ですが、ラメダスが処刑されようとしている場でのアムネリスの葛藤ですが、アムネリスの露出があまりにも多くて、タイトルロールは誰やったっけとなる。ですが、最後の最後でアイーダの見せ場が、石棺の中に閉じ込められたラメダスとアイーダが歌う二重唱。一番美しいのはこのシーンですかね。しんみり、しんみりとした終演でございます。
それにしても、こんな所に衛兵や宦官に悟られること無く忍び込むアイーダって、相当すばしっこい人物設定だな。ジャン・バルジャンなみ。
タイトルロールを演じるモナスティルスカさん、歌はいいんだけど、もっと表情というか演技が欲しいと思いました。動画は元気一発、凱旋行進曲