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徹底取材、大丸心斎橋店

年末の大阪ミナミを歩いて来ました。向かう先は、今年でほんとうに見納めになってしまった大丸心斎橋店本館。この建物を私は、心斎橋の文鎮と位置付けておりましたが、文鎮の外れた心斎橋は今後どのようになって行くのでしょう。建築のファサード(外観)だけ残して、高層化したとしても、なんか違和感あるんぢゃないでしょうか。ウィーンのムジークフェラインや、アムスのコンセルトヘボウを外観だけ残して、ガラス貼りの高層部を建てても変でしょう。いやいや、もうぐたぐたいうのはやめましょう。世の中は資本主義なのです。大丸の心斎橋店は1726年から289年間この地にあって、現本館は82年。私らは永久にあると思っていても、建築は移ろっていくということですかね。

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ渾身の傑作を記憶に留めるべく、写真を撮って来ました。

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趣きのあるネオゴシック様式の外観。

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建築の北西角の塔がゴチックしてます。ゴチックは中世ヨーロッパの代表的な建築様式。垂直線を強調し、天へ伸びる意思を示してます。

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エントランスは見上げると星模様。アールデコ全開。

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夜はこんな感じで、きらきら星となる。

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北側のエントランスもさりげなく凝ってます。ドアの上の三角の照明のあたりが。百貨店でヴォーリズ事務所のこの部分の青焼き図面を展示してあった。昔の手書き図面は趣きがあってよろしいです。

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心斎橋筋商店街側のエントランス上部に孔雀のレリーフがある。昔の建築は動物のモチーフを使うのが多いですね。この部分も青焼き図面を見たけど、昔の設計事務所は、仕事で動物の絵を書いていたのだなあと。なんだか優雅で、古き良き時代の話しだなと思えた。今の設計事務所では動物の絵を書いていたら、サボってんのかこのタコ8と言われますよ。

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中に入って写真をまた撮ってしまった。とにかく、1階のエレベーターホール廻りは、絵になるようで、記念に写真を撮る人が多かった。

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特に年配の方がガラケーで、スマホで、恐ろしく高そうなNikonで撮ってた。普通は店内でパシャパシャ撮っているとお兄さんに注意されるものだけど、流石に閉店間近なので、なんにも言われない。

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1階天井はほんとゴージャス。これぞ百貨店と思える煌めきです。

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天井にワシがおったw。

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さりげないところで小技が光る。

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なんでもないようなことが、手が込んでます。
星のモチーフがこれでもかと多用されている。
 

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この作り込みの異常な多さ、現代の建築では困難です。
 
この場所に朝から晩までいて、造形を堪能しました。そして、中2階で開催されていたミニコンサートで弦楽四重奏曲をがっつり堪能。昔は放送設備も無かったので、生コンサートで館内のBGMをやってたとか、なんとも優雅な話であります。
 
最後にメモしておきたいお話をふたつ・・・
 
大丸の当主は当時無名のアメリカ人建築家ヴォーリズを登用しました。これが当時の大阪商人の心意気だったのだと思います。そして、斬新というか奇異なアールデコやらネオゴシックやらを持ってこられて、なんかけったいやけどなかなかええやないのと思える、懐の深さ。クライアントの懐の深さが心斎橋の建築文化を生んだんじゃないかと思います。
 
次にアメリカ人の建築家として名を馳せたヴォーリズは、太平洋戦争が始まると日本に帰化。一時軽井沢に転居するのですが、戦争の時代は仕事がない。失意の日々を送るのですが、ある日、東京帝国大学から、英文学の講師の依頼が来て喜ぶヴォーリズ、週に一度軽井沢から東京への汽車で通っていたそうです。戦時中の車窓の中でひとり電車に揺られているヴォーリズのことを考えていたら、ふと、これは朝ドラいけるんじゃないかという気になって来ました。
どうですかね。NHKさん。