ヒラリー・ハーン プレイズ バッハ


平日のリサイタル。なんとか間に合う。西宮北口の改札でて、歩きながらカロリーメイトをチャージ。兵庫県立文化芸術センターへ、ヒラリー・ハーンさんのリサイタルに行ってきました。演目はモーツァルトソナタK302、フォーレのヴァイオリン・ソナタ、現代作曲家のショートピース何作品か、そしてバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番からシャコンヌです。
いやあ、ハーンが現代音楽を奏でているのを初めて見ました。ゲンダイらしい不協和音を奏でているのはなかなか新鮮でした。しかし、ゲンダイでも私は情緒的な分かりやすいやつが好きで、大島ミチルさんのMemoriesが良かったですねえ。

あと、フォーレソナタ第1楽章はすっごい情感豊かな熱演でした。第1楽章終わって会場内、拍手喝采、わかっちゃいるけど止められないって奴でしょうか。ハーンのフォーレはすばらしい。ピアノのコリー・スマイスくんのナイスな歌心も効いてました。思うんですけど、ハーンさんの録音はコンチェルトが多いですけど、この辺の室内楽の名曲も録音してほしいなと思う今日この頃です。

で、前半の最終曲、バッハのシャコンヌです。会場のみんなもこれをライヴで聴きたいと思っていたはず。私もハーンが奏でるシャコンヌはすごいんだろうなと何となく思っていました。で、聴いてみたら予想通り凄かったですます。バッハのシャコンヌは私にとって宇宙を感じる数少ない音楽です。ハーンがシャコンヌをヴィヨーム(バヨリン)で響かせると、ホールの空気感が違ってくるんだなあ。普段はにこやかなハーンもシャコンヌやり出すと仁王像みたいに見えてくるし。初めは重心低く始まる音楽も、時間が経つにつれてどんどん澄んでくる。いったん潮時かな、そろそろ音楽もフェードアウトかと思った時にまた益々澄んでくる。ハーンは、技巧を駆使した早弾きではなく、丹念にミクロコスモスを織り上げて行きます。なんちゅう透明感、無重力感、私は幸せのただ中にいました。私は泣きませんでしたけど、涙を拭っているような方もちらほら、バヨリン1本で人泣かすってどんなやねん、と思いました。
動画はハーンさんのシャコンヌ無伴奏全曲リサイタルとかしてほしいなあ。