ミス・サイゴン

やっとミス・サイゴンが大阪にやって来た。帝国劇場の初演から数えて21年にして初めてです。去年の大晦日の日、梅田芸術劇場に見に行ってきた。

後で知ったのだが、会場では年越しそばが振る舞われていたらしい。気がつかず補食できなかった。とても残念なことです。それに会場に入るとレ・ミゼラブルレ・ミゼラブルレミゼのポスターがいっぱい。ステッカー配っていたり、がっつり新演出版レミゼの宣伝に入っていた。
ミス・サイゴンのストーリーは、ベトナム戦争サイゴン陥落直前に出会うベトナム少女キムとアメリカ人クリスとの悲恋物語なんである。オペラの蝶々婦人をモチーフとしている。だが、とても現代的な構成に仕上がっている。

何が現代的かというと話の展開が早い早い。2時間半の中で、舞台が目まぐるしく入れ替わる。サイゴン、時間を経てホーチミン・シティ、アトランタバンコクと場所が移っていく。いらちな現代人にぴったりのスピード感。ですので2時間半はもうあっという間です。(ワーグナーで、トリスたんとイゾルデが30分も延々とラブ・デュエットやってたりするのとは対極だなあ)
このミュージカルは、ヒロイン超加重型ストーリーなので、やはり絶対的ヒロイン、キムの出来にかかっている。キム役の新妻聖子さんは声がのびるのびる。最初のアリア(?)で、ぐいと引き込まれる。

エンジニアの市村サンは貫禄がちというか、そこに立ってるだけで様になっている。舞台で命をつないできた人の顔をしている。物語の終盤でアメリカン・ドリームという見せ場があるのだけど、華やかな中にもどこか寂しさのただようシーンなんである。それは、観客が彼の夢、アメリカに渡るという夢が叶わないというのを分かっているからなんだろうな。
この舞台で最大の見せ場といったら、バンコクでキムとクリスが再会すると思ったら、いきなりサイゴン陥落へとフラッシュバックするところだろうか。舞台転換が早くて早くて、首都が陥落する緊迫感を高めている。ヘリコプターが出てくるシーンになるが、想像はしていたが新演出版は映像です。ヘリコプターの映像とリアルどっちがいいかと言われたら、リアルがいいなあ。リアルの方が重量感あるし、お得感ある。(でも、リアルヘリが入るのは帝国劇場と博多座だけである。)

とはいえ、クロード=ミシェル・シェーンベルクの楽曲はツボにはまっていて、うるうると楽しめました。動画はキムとクリスのよめはんエレンのI still believe.

ここからはぜんぜん関係ない話

梅田芸術劇場で見つけてしまったフルトヴェングラーを題材とした芝居。いけないものを見てしまった。フルトヴェングラーが終戦後にナチスとの関係を追求される物語のようである。
キャストはフルトヴェングラー平幹二朗。体格のいいフルヴェンだなとか、あのフルヴェンの指揮の動き出来るかなとか、カラヤン先生は出てくるのか。カラヤン先生が出てくるのなら、ベーム先生も出てほしいなとか、興味の方向性が違う方向に行ってますWW。