ヴェルディ〜オテロ

ヴェルディの傑作、オテロ。メトのLive in HD。同じ映画館でエヴァンゲリオンやってて、エヴァに激しく惹かれつつも、オテロへ。まあエヴァはまだ、しばらくやってるだろうし。

シェークスピアの心理劇だけあって、ドラマがしっかりしている。でもこれはかなり陰惨な物語だ。ベネチア海軍のキプロス提督オテロが、イアーゴの計略に引っかかり、妻デスデーモナの不義を疑い手にかける。権力もある軍人が無実のデスデーモナを追い詰めていくのは、あまり気持ちのよいものではない。それに、世界最強のベネチア海軍の提督ともあろう者がハンカチ一枚で沈むとは。これを見てると、まだ、世界征服を企む人が出てくる指輪の物語がスポーツマンシップにのっとっているように見えてくる。

ヴェルディはんの音楽は絶え間なく、緊張が続く。このオペラはアリアの後で一回途切れるようなことは無いから、集中力いるんですよね。オテロ役のボータ、とイアーゴ役のシュトルックマンが上げ上げで、テンションが高すぎて、ついていけないぐらい。いや、すごい熱演なんですが、このドラマはやっぱり緊張感、隙が無いんです。そんな中でデスデーモナをしっとりと歌うフレミング、いいですなあ。フレミングって、メトの女王で大ベテランなんですが、設定である若く嫁いだばかりの娘さんに見えてくる。やはり、演技達者、表情の変化が細やかなんですね。動画は、全編緊迫がつづくなかで、静寂が訪れる。デスデモーナの最後の祈りアヴェ・マリア。貼らしてください。

個人的には、ストーリーが突っ込みどころ満載でも、アリアで聴かせるイル・トロの方が好きだな。